日曜日。
春分を過ぎ、もう早起きをしても、おおむね夜は明けていることが多い。あまり、なんというかお得感がないけれど、これ以上、月曜日に絶望感を付与するのが嫌なので、遅くとも7時くらいには起きるようにしている。
数日前に、U-NEXTからインビテーションメール(「初回登録1ヶ月無料」をすでに使用しているユーザーに再登録でもう1ヶ月試しませんか? というメール)が届いた。
ずっと観たいと思っていた『団地のふたり』(年末の再放送も楽しみにしていたのに見逃した)をやっと観られる! と思い嬉々として登録したものの、NHKドラマは別途有料とのこと。
なんだ、残念。
かわりに日曜劇場を片っ端から観たりしていたなかで、とくにおもしろかったのが、これは日曜劇場でもU-NEXTでもないんだけど、『天狗の台所』。
天狗の末裔である14歳の少年が、しきたりに従って過ごすことになる隠遁生活を描いた話。
隠遁生活を過ごすことになるのが四方を緑に囲まれ、つねに野生動物や虫が傍らにある村なんだけど、作品の大きなテーマのひとつがほぼ自給自足(刺身なども登場するので、すべてが自給自足ではないが)のスローライフ。つまり、食。
もともと、食がテーマの映画や物語が大好きで(これで料理は特段好きではないのが自分でもほんとうに不思議)、30分ドラマの毎話に登場する食卓にすっかり魅せられてしまった。
2シーズンあるドラマ20話分を大切に大切に、一気観しないよう気をつけながら観て、原作が漫画でドラマには大胆なオリジナル要素があるとわかり、気になってコミックも買ってしまった。
素敵な漫画。というか、いいドラマ化だったんだなということがわかる原作漫画。
主役のひとりである基役の俳優さん(駒木根葵汰)の、とくに声がとてもいい。
漫画が脳内で声つきで再生される贅沢を味わえるという意味で、ドラマから原作漫画の順番はよかったかもしれない。
本は、朝比奈秋『私の盲端』を読み終えた。
先日読んだ『サンショウウオの四十九日』と趣きが異なり、いかにも純文学らしいエキセントリックさが内包された作品。
少しずつではあるけれど、本を読む習慣も戻ってきている。
習慣というのも不思議なもので、意識が遠ざかっているとその情報も自然と遠のく。けれど、自分自身でこうして「習慣が戻ってきた」だとかいう身近な認識を持つと、情報も集まってくる。
とにかく、まだ図書館の予約リストには楽しみな本が並んでいる。
さて、4月。
ことしは異動もなく、さして変わり映えもしないものの新年度がはじまる。
気候は、派手めな三寒四温。
きょうの本
朝比奈秋:『私の盲端』
芥川賞作家のデビュー作。病気のため、大腸ストーマ保有者として生活する女子大生が主人公。まず、現役医師でもある作者の視点らしくもあり、また多くの取材も重ねたのだろう詳細な生活の描写がとにかく(無知な健常者である一読者の自分に)有益だった。
それとは別に、文学作品としてのテイストは『サンショウウオの四十九日』や、『植物少女』とはやや異なり、若干濃いめ。癖のある人物が次々登場するし、眉を顰めるシーンも多い。でも、読了してはじめてこの作品が恋愛小説だったかもしれないと気づく。着地点はとてもあたたか。