じぶんの型を持つこと

雑記

3月で、1年間(8月から毎月)続いた試験が終わった。

おそらく資格試験としては軽いほうのものだと思う。ただ、自発的に取り組んでいるものではないうえに、そこそこ素人にはむずかしい科目もあったりでたいへんだった。

が、ほんとうにたいへんだったのは内容そのものではなく、勉強の習慣をつくることだったかもしれない。基本的に、夜はだめだ。晩ごはんを食べるともう使い物にならない。そもそも時間が足りない。食器を片づけて、風呂に入って……とひととおりのことをやっているともう寝る時間だ。

じぶんの世話をするだけなのに、どうしてこうなのだろう。

お金でも、馬券の買い方でも、髪型でもそうかもしれないが、段取りをする、いわゆる「じぶんの型を持つ」というのがわたしは苦手だ。

じぶんの最適解の髪型、1週間ごとの予算……わからない。わからないまま、ふわふわと生きている。けれど、それでいいひとはそれでいいのかもしれないが、わたしはそれが基本的に気持ち悪いのだ。

じぶんの型を持って、それを盾に生きてゆきたい。

基本的に「柔軟さ」というものがじぶんには欠落していると思う。だから、ほんのわずかな「テスト勉強」というイレギュラーな要素が生活に入り込んで来ただけで日常生活が崩壊してしまう。まぁ、詰まるところ不器用なのだろう。

せめて、じぶんの似合う髪型の最適解くらいは見つけたい。けれど、それも髪を伸ばすと決めた1ヶ月も経たないうちに「やっぱりボブがいちばん楽」と言って切ってしまったりする。いろんな髪型で遊びたい、と思っているわけではなく、思いつきで「次に決めたことがきっとじぶんの最適解。一生守り抜く」となかば本気で信じて漕ぎ出すから、質が悪い。

じぶんの最適解を知っているひとは強い。

じぶんの頭の形を知って、じぶんの顔のデカさを知って、馬券は「ワイド軸流し2点」と決めたらどんなレースも淡々とその賭け方をしていく。

そう思うのに、舌の根の乾かぬうちに「いや、このレースは馬連とれる」と思ったり、「やっぱりおでこは隠したほうがいい」と伸ばしはじめた前髪を切りに行ってしまったり。

そんなふうにしてどんどん「じぶんの型を持つ」チャンスを逃していき、目先の思いつきに飛びつく、そして気がつくと46歳……

と、現在は崩壊したじぶんの生活を整え直すことに腐心している。

競馬をはじめたせいで、とにかく競馬予想というのが時間泥棒このうえない。でも、どこかで決定的に(競馬を)嫌いになるイベントが起こらない限り、このブログ書きと同じニュアンスで老後の趣味としてはいいような気がする(いくつかの材料をもとに未来予測をする……ボケ防止としてはプラスに働く気がする)。

とはいえ、ともかくここまでの趣味として愛してきた読書と映画鑑賞だけは押しのけることがないように、意地でも時間を作るという意思を持って、少しずつ少しずつ進めている。

2026年もいいい本といい映画に出会えるといい(あと、それから少しずつでも競馬予想上手れるといい)。

きょうの本

松下 龍之介:『一次元の挿し木』

第23回「このミステリーがすごい!」大賞・文庫グランプリを受賞したデビュー作だそう。

あらすじ:ヒマラヤ山中で発掘された200年前の人骨。大学院で遺伝学を学ぶ主人公・七瀬悠がその骨をDNA鑑定にかけると、4年前に行方不明となった妹のものと一致した。妹の失踪の真相を探るべく行動を開始するも、調査でコンタクトを取った恩師が惨殺され……

・「謎の牽引力、ストーリーの面白さは、今回これがダントツ」大森 望(翻訳家・書評家)
・「謎の散らばせ方、話の運び方も上手く、最後までぐいぐい読ませました。文章も上手い」瀧井朝世(ライター)
・「文章力が圧倒的だし、魅力的な謎の提示、読者を惑わす情報を入れてくるタイミングなど、とにかく舌を巻く巧さだ」千街晶之(書評家)
(Amazonイントロダクションより一部引用)

というもの。結論から言うとつまらなかった。

主人公の七瀬が「人目を引くハッとするほどの美青年」で、調査で出会った退屈な人妻を懐柔したり、失踪した妹(正確には義理の妹)との恋愛関係、そういう細かい設定が一事が万事チクチクと気持ちが悪いし、文章自体も大して上手くない比喩表現が多く、読みづらい。

というあたりが障害になって、いまひとつミステリーとして集中できない感覚があるんだけれど、肝心のミステリーとしても特段疾走感もハラハラ感も、真相が発覚したあとの腹落ち感もなく、何とも消化不良なうえにラストがえ……という。なんだろう、クローンとか、宗教とか、いろいろ詰め込みすぎな感じがある。もっとこう、相場英雄みたいな「その方面を糾弾する」という強い意思を持ったねちっこさがほしかった。

ただ、念のため書評をちらほらチェックしてみると好意的な感想が多いので、ミステリー好きにはどう映るのか。好みが分かれる作品なのかもしれません。ご興味があれば。

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