正直なお金の話をしてみよう

お金のこと

雨の土曜日、は好きだ。
予定なく家でだらだらしていても、何となく大義名分がたつ気がする。というか、実際は晴れていても家で終日過ごす休日なんかしょっちゅうだけれど、それでも雨の日を部屋で過ごすのは何だかいいものなのだ。秘密の箱の中にそっと隠れているような気分というか、子どもの頃の留守番のような気分というか。

さて、

わたしは俗に言う就職氷河期という世代だけれど、いわゆる就活をしたことはない。
何となく学生時代からしていたバイトをそのまま続けて、自治体が運営する就職支援セミナーみたいのを挟んで派遣社員として働いたりしながら、いまの会社に潜り込んだ。ぬるっと働き続けていたら制度改正があって、正社員になった(ことに優秀な人材だったとかではなく、ただの制度改正)。

危ない人生だったけれど、ここは運がよかったかもしれないと思う。

ただ、そういう感じだったせいもあり、蓄財に関心を持つのは遅かった。というか遅すぎだった。正直に言う。ここ2、3年くらいの話だ。それまでは何となく働けて、食べられて、クレジットカードの毎月の支払いもつつがなくこなしていければそれで充分だと思ってきた。
(実際、つつがなくなんかはなかったし、部屋の更新料さえやばいということが何度もあったが)

そういう自分が貯金をはじめたきっかけって何だったかなと思い出してみると、やはり最初は本だった。きょうはその話。

1冊目は『年収200万円からの貯金生活宣言/横山光昭』。
かなり有名な本なので知っているひとも多いと思う。これをはじめて読んだ時は貯金というものがたしかガチのマジで0に近かったと思う。それを特段「よくないこと」とも思っていなかったわけだけど、たまたま手に取ったこれを読んで、すんなり「あ、貯金しよ!」と思えた。

「お金貯めないと、ヤバい!」と本気の本気で思ったことはいままでの人生でなかった気がする。といっても、いつかどこかでそう思うことになる局面は訪れるだろうとうっすら怯えてはいた。要するに真剣に向き合うのは面倒だから問題を先送りにしていたわけだ。そして、奇跡的に貯金なしで生き延びていた。

なので、わたしが危機感で貯金ができるわけもなく、続けていくにはある種のゲーム性が必要だった。

最初に貯金ができるシステムとして自分で何となく「上手くいった」と実感できたのは旧NISAである。わたしが勤めている会社は金融なので、銀行に出向している先輩や同僚に「口座を作ってほしい」と言われ、それには乗らずふんわり下調べをしてからネット銀行で口座を作り、数千円くらいずつを毎月積立にした。しっかり勉強してはじめたわけではないから、NISAにはあまりメリットがない銀行ではじめたり(特段デメリットといえることもない場合もあるが)、後々本格的にはじめる段階で間違えて*特定になっているファンドがあるのに気づいたりと、いろいろミステイクはあったが、ともあれ大して勉強しなかったおかげか、「何となく触ったらいけん気がする金の箱」をつくることができた。
*特定口座:ざっくり言うと、NISAでやれば利益に税金かからないが、特定はかかる。無知ゆえに捨ててしまったカネはこれに限った話じゃない。

そこで「何となくまとまった金ができる」という楽しさを知ったわけだ。

このあたりで参考になったもう1冊の本が『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え/ジェイエル・コリンズ』。

はじめは本自体ではなく、何かの記事で読んだのだったと思う、ここでとにかく印象に残ったのが「お金に働いてもらう」というワード。
旧NISAをはじめて2年弱経っていたと思う、運用実績の見方すらよくわからずただ毎月自動で買付する仕組みを作っただけだったが、本を読み、「お金に働……」と思ってマイページにログインしてみてびっくり。これがお金に働いてもらうということなのかと腑に落ちた。

そこからはもう俄然個人の範疇の小さなマネーゲームがおもしろくて仕方なくなった。新NISAがはじまるタイミングで証券会社にNISA口座を移し(けっこう面倒だった)、手堅い人気ファンドからちょっと攻めたファンド、再三度外視のセクター特化ファンドまで、自分なりのポートフォリオを作って蓄財を楽しんでいる。

こんなふうに話をするともう資産2,000万くらい築いた感じに聞こえそうだけど、まだまだ全然。ただ、数字を積み上げてそれがでかくなったから安心、というわけでもなく、気持ち的には貯金0の時とそこまでは変わらない。後ろ盾という意味合いではまだ全然という意味で。これが数年働かなくても生きていけるくらいまで資産が積み上がったらわからないけれど。

だけど、人生のどこかのタイミングで蓄財に興味が出るターンがやってきてよかったなとは思う。実家には嘘みたいにお金なかったし、今後相続できる資産もまったくないし、家族もいない。すでに中年になってしまっている自分が資産形成をしようと言ったら、ここからはもう投資しかないのだ。

そんなお金の話はとりあえずここまで。
また気が向いたら、「とりあえずオルカン一択!」ではない(正直、それで全然間違ってないというか最良ですらあると思うけど、蓄財にはゲーム性が必要なのだ)わたしの投資傾向の話なぞもできれば。

きょうの本

横山光昭:『年収200万円からの貯金生活宣言』

ガチのマジで貯金0、というひとがいたらまず読んでみるといい本。
支出を「消費・投資・浪費」に分類し、90日かけて貯金できる仕組みを作っていく。目新しい魔法が書かれているわけではないけれど、だからこそ実行できるイメージを掴みやすく、読み終わるとすんなり「貯金やってみよう」と意識が変わる。
「年収200万円」に毒づく必要はない。これは「貯金はどんなに収入が少なくてもできる」というのを示しているだけの掴みで、今後日本の衰退……みたいなことを謳っている本ではないので、安心を。

ジェイエル・コリンズ:『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』

こちらは一歩進んで投資の本。収入の一部を貯金・預金ではなく、投資という方面に割いていく。
投資がおそろしく、ある種のギャンブルだと捉えているひとが日本にはまだまだ多いらしく、その感覚はわからないでもない。そうした何となくのおそろしさを柔軟にほぐして、投資という初心者からしたら得体の知れないものを、自分の手で充分に扱い切れる身近なものなんだとお金の世界にそっと近づけてくれる良本。父から娘に。資産を遺すではなく、資産形成の方法を遺すという形はとても有意義だと思う。

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